もやし畑へ

 【あけかえ】

仕込み容器の中で萌えた豆たちは、仕込み部屋と断熱シャッターで仕切られた栽培室へと移動し、そこにある大きな栽培枠に移されます。私たちはこの作業を「あけかえ」と呼んでます。クレーンで仕込み容器を高く吊るし、栽培枠の上で仕込み容器をひっくり返して、豆をザザーッとあけかえるのです。

※もやしが育つ畑、ムロについて

これがもやしの畑です。

これがもやしの栽培室、私たちはムロと呼んでいます。いわゆるもやし畑にあたるわけですが、ここは日の光も、土もありません。ずらりと並んだ栽培枠の底は穴のあいたステンレス製の鉄板が敷いてあるだけです。このムロの室温は常に25~28度、湿度は70%以上で1日に4~5回の雨が降ります。雨の水温は17~18℃位。少しだけ地下水を温めています。向かって右側がブラックマッペの栽培枠、左側が緑豆もやしの栽培枠です。2種類のもやしを一つのムロで育てるというもやし生産者は、少ないと思います。しかしもやしの形に拘らなければ、難しいことではありまん。深谷ではこの環境で十分健やかなもやしが育ちます。そうそう、本当に大事なことを忘れてました。このもやしのムロにはもやしムロだけの特別な気体が混ざっています。それは・・・・

エチレンです。もともとは植物が持つ成長抑制ホルモンですが、それを人工的にムロの空気に混ぜることにより、もやしを太くしたり、根を短くしたりする作用があります。もやし売り場へ行けばとても根が短くて太いもやしを見かけますが、それはエチレンの使い方を熟知している生産者が作り上げたもやしであるといえます。私自身は本来ならエチレンは使わなくてもよいものだと思っているのですが、使わなければ今よりももっと細いもやしになってしまい、現在の市場価値にそぐわないものになってしまいます。なので不本意でありますが、もやしを買ってくれるお客様に怒られない程度の形になるよう少しだけ使っています。

もやしにとってめぐみの雨はここから降るのです。

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